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「銀色の髪のアギト」見てきた | No: 1059 |
おもしろかった・・・・よ?(何故疑問系)
以下ネタバレ注意。
いや・・・、なんだろうね(何)
2003年5月のラーゼフォン劇場版の時点で予告作れるぐらいのペースで進んでたわけだから少なくとも3年以上は制作してるんでしょうけど、まぁ流石に映像の方は綺麗でした。GONZOって「2Dアニメと3DCGを違和感なく見事に融合させた」ってのを売りにしてる割には、過去の作品見てると違和感ばりっばりで3Dが浮きまくってるのが多かったけど、これを含め最近のは流石に違和感軽減されてきたし。話の鍵になる「森」とか、廃墟となった高層ビルとか、そういった背景もかなり書き込まれてる印象でした。
でも、肝心のストーリーの方がなぁ。
「ボーイ・ミーツ・ガール」「文明が滅んだ未来でも逞しく生きてる人々」「自然との共生を訴える」とかそんな感じのは、スタジオジブリの宮崎駿作品を筆頭に日本アニメの「お家芸」とも言えるような王道展開ですが、まぁそういう展開を幹に据えるのはいい。ただ、王道故に枝葉の部分にその作品それぞれのオリジナリティが無いと「どっかで見たこと有る作品」になっちゃう。この「アギト」はまさにそんな感じ。
主人公はその世界では普通の男の子で、仲のいい男友達が居ていつも二人してやんちゃに暴れ回ってて、ある日異質な少女と出会うことで物語が動き出す。その少女は主人公と周りの人たちに暖かく迎え入れられ、改めて日常生活が描かれるが、それも長くは続かない。
悪役というか敵方として登場してくる集団にはその異質な少女のことを知る男(大人。その集団では指揮官の地位にある。)が居て、その少女の持っている特別な力を利用しようともくろみ、少女を奪いに主人公たちの元へやってくる。その男は少女の過去を知っていることを切り札にして巧く少女をだまし、少女に一緒に来ることを承諾させる。
連れ去られる現場は主人公の目の前で、主人公の少年は少女を連れていかせるまいと抵抗するが全く歯がたない。少女は主人公と引き離され、主人公は少女の名を叫ぶ。
連れて行かれた少女は、男と共に敵方が発見したその世界基準で見ればオーパーツレベルの兵器に向かう。
主人公の少年は目の前で少女が連れて行かれるのに何もできなかったことを父親に相談し、それで決意を固めて少女を追いかける。
一方「兵器」に到着した少女と、その少女の過去を知る敵方の男。その男は、いよいよその兵器を起動させるというときになって本性を現し、それまで付き従ってきた集団の部下たちをばっさりと切り捨てる。
少女の力を以て起動する「兵器」。その兵器の力はあまりにも圧倒的で裏切られた部下たちを畏怖させる。
起動のきっかけとなった少女自身も、それまでは騙されていたためおとなしく男に従っていたが、そいつの「野望」がとんでもないことだとわかり止めに入るが相手は大人の男。敵うわけもない。このまま男の思惑通りになってしまうのか・・・
そこへ少女を追ってやってきた主人公が到着。少年は決死の覚悟でその「兵器」に侵入し、その中心部で少女と再会。
そして始まる主人公vs敵方の男の最終決戦。
その結末は・・・・
って、ねぇ、これなんてジブリアニメ?(爆)
こうして固有名詞を一切伏せて、一般化して書いてみると「天空の城ラピュタ」のストーリーですって言っても通じるよな(爆)
もうちょっと細かく見ても、舞台となっている世界は遠い未来で、現実世界の現代とは逆の「自然が人間を支配している世界」になっていて、そのうち主人公たちの住んでいる土地は自然との共生をはかり、文明的ではないものの平和に暮らしているという社会だが、敵方の社会は「人間による自然の支配」を望んでいる集団、ってのも それなんてナウシカ?だし(何)
ラピュタとナウシカ足して2で割れば何も足さないでもアギトになるんでね?(何)
いや、足さないどころかむしろちょっと引くとちょうどいいかも知れない(何)
大筋もこの通りどっかで見た感じで新鮮みがないんですが、ストーリー展開もなんか盛り上がりに欠けた印象。
なんだか各場面各場面が大して盛り上がらないうちに次の場面に移ってしまって、全体としてもテンションが平坦。
アギトが森と契約して「銀色の髪」の強化体になったからには、ラスボスであり同じく強化体である敵大将のシュナックと激しいアクションでもしてくれるのかと思いきや、わずかの時間戦っただけで樹木化という「捨て身の必殺技」使って相討ちって、物足りなすぎ。
おかげでパンフレットに書いてあったような「ハラハラドキドキ」は残念ながら感じないまま最後まで行ってしまいました。
それからなんか起こることが皆唐突に起こってるような印象がどうにも否めない。
敵対集団であるラグナの人がヒロインの少女・トゥーラを連れていけば云々なんてあからさまに不穏な話をしてるところに、アギトに思いを寄せてた少女・ミンカが堂々とトゥーラのこと教えちゃったのは突然やってきてはアギトと一緒にいることの多いトゥーラへの嫉妬からなのかも知れないけど、その教えたシーン以外に何も描写がないから一体何を思ってやったのか分からない、なんてのが代表例。
上で「兵器」と書いた「イストーク」(これは実はトゥーラの父親が作ったシステム)をトゥーラが止めようとするときも、最初、起動の鍵となる「ラバン」が外せなくてどうしようもなかったけど、必死になって零した涙に反応してか突然個人識別システムが起動し、トゥーラであることを認証して無事停止ってのも、父親が「こんなこともあろうかと」娘の認証パターンを登録しておいたようにしか思えなくてどーも「ご都合」臭さが拭えなかった。
樹木化したアギトがよくわかんないけど復活するのなんて言及するまでもないですね(何)
あともう一点、アギトの声が明らかにアフレコ慣れしてなくて「普段役者として活躍してるはずなのに演技が下手になる」現象が見事に発生しててさらにヴァー('A`)(何)
よりにもよって主人公がそんなだからなぁ・・・
アギト以外もトゥーラ始め主役陣はおおむね芸能人起用だけど、他は結構聞けるレベルだっただけに主役の違和感がより一層際だっててもう・・・
こんな原作なし、制作スタジオの一般に対する知名度もなしな単発アニメ映画じゃ芸能人起用でもして宣伝しないと興行収入が得られないという業界事情は察しますが、やっぱり主役ぐらいは本業の声優に任せた方がいいと思うんだけどなぁ。餅は餅屋、ってね。
(ただアギトの友達・カインは役者ですらないよゐこの濱口でしたが、この人は意外にもかなり上手かった(笑))
そんな感じでかなり前から「見るぞ」と思っていた作品の割には出来がイマイチだったなーというのが正直な感想。
映像のきれいさと「日本アニメの王道展開」がもつ「普遍的なおもしろさ」に辛うじて支えられてる、そんな感じ。
今年は見たい劇場アニメの多い年ですが、1発目は不調に終わってしまいました。
次は3月のケロロ。「かいけつゾロリ」との同時上映なので劇場の客層を考えるとかなり足を運ぶのがためらわれますが(爆)、勇気を出して行ってみたいと思います(爆)
勇気といえば、その次に控えるこの日記では始めて登場の宮部みゆき原作・「ブレイブ・ストーリー」。
結構前にアニメ映画化するという情報が出たときからうっすらと記憶にとどめていたんですが、今月号のアニメージュを見たらスタッフ陣がなんだか思いの外見覚えのある人が多いことに気づき、見なければと言う気分に(何)。
監督の千明孝一はフルメタアニメ第1期監督だし、脚本の大河内一楼はラーゼフォン、ステルヴィア、プラネテス、エウレカの脚本。キャラクターもなんか見たこと有るなと思ったらキャラデザ・作監がプラネテスの千羽由利子。原作の宮部みゆきについてもベストセラー作家であると同時にゲーム大好きハガレンも読んでるなんつーさりげなくオタク領域に近い人であるという認識もある(何)のでストーリー的にはOKじゃね?と予想。
ただこれも声優陣がなぁー。主人公の少年・ワタルが松たか子ってどんなことになんねんとアニメ誌読んだ段階で不安に。道民的に大泉洋はアリだけど(何)
で、今日の上映前にGONZOつながりで予告編が上映されたんですが、松たか子が予想以上にヴァー('A`)なことになってて_| ̄|○。「少年」になりきれてないよ・・・
さらにもう一人おそらくウエンツ瑛士がやってる役の声も聞けたけど、これもかなりいやーんな事になっててもうorz。
その上でアギト本編も↑のようなことになってたから、もうアニメ映画の芸能人起用はやめてくれ、やるならやるで徹底的に演技指導しろと心底思った(何)
そんなわけで若干不安の色は隠せませんが、7/8の公開を一応楽しみにしておきます。
ちなみに映像の方は、作監の千羽さんのカラーが濃いせいか、ものすごくプラネテスでした(笑)
原作小説がそこら中の図書館にいっぱいあるから借りて読んでみますかね。