徒然なるままに、日暮らし、パソに向かひて、心にうつりゆく由なきネタを、そこはかとなく書きつくれば、あやしうこそものぐるほしけれ(何)

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2011年02月の記事
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「もう一つのシアター!」 No: 1924
投稿者:管理人   2011/02/01 Tue 02:08:12
最近こういう「どこかへ行ってきた」系のネタはことごとくついったに垂れ流されてはタイムラインの彼方へと消え去っているのですが、今回は敢えてこの日記に投稿。このアツい想いを140字×n程度の文字数では到底吐き出し尽くすことは出来ないと思うし、Twilogというツールがあるとはいえ探し出さないと見られない所にしか存在しないのもちょっとどうかと思うぐらい感銘を受けたことなので。

そんなわけで土曜はタイトルにも書いた「もう一つのシアター!」というものを見に行ってきました。
リンク先を見れば分かるかと思いますが、ええ、舞台ですよ、舞台
僕の普段の行動をよく知ってる人からは「今日は何のアニメの聖地巡礼ですか?」って聞かれそうな気がしてなりませんが(何)、今回ばかりは違います。世間一般、リア充にも通じるし辞書を引いても出てくるあの「舞台」。要するに演劇を見に行ったわけでございます。
今度は「根っからのアニヲタなのにそんなところへ行くなんてどうした?!」とか聞かれそうな気もしますが(再何)、これにはちゃんと事情があって。
強いて言うならば「根っからのオタクだからこそ行くのですよ(キリッ」といったところです。

どういう事かと言いますと、この作品、「もう一つの」というからにはもう一つが有るわけでして、それがメディアワークス文庫から刊行されている「シアター!」という作品。「図書館戦争」でお馴染みの有川浩先生が書かれた作品です。
小説の内容は、三百万の借金を背負ってしまい存亡の危機に陥ったとある小劇団が、その借金を返済するために「商業的に成立する劇団」へと変革させるために劇団員が奮闘する様を描くと言うもの。
舞台演劇の世界という物は興行を行っても赤字になるとかザラで、とても商売としては成り立っている世界ではないんだそうですが、それなのに何故か集団として成立してる。この不思議な状態に興味を持った有川先生は、この作品の執筆に当たって実在の劇団を徹底取材して、そこをモデルに、実際に起こった事件なんかも小説中に盛り込んだりしてこの作品を書き上げたそうです。
んで、その劇団、「Theatre劇団子」というところなのですが、有川先生がこの劇団を知るきっかけになったのが、「図書館戦争」のアニメで柴崎役を演じた沢城みゆき。彼女が声優業の傍ら、この劇団で演劇活動をしていたことで有川先生との繋がりが生まれ、この作品が生まれるに至ったとのこと。ほらね、アニメと繋がった(何)

でもって今回見に行く決定打となったのが、「シアター!」という作品を、モデルとなったTheatre劇団子が自ら演じるという点。
今書いたような経緯があるので、当然作中には沢城みゆきをモデルにしたキャラも出てくるわけでして、その作品をモデルになった劇団が演じるって事は沢城みゆきも舞台に出てくるって事で、何だか分かりづらくなってきましたが、要するに、沢城みゆきをモデルにした役を沢城みゆき自身が演じるということになるわけですよ。
となれば、好きな物となれば周辺領域まで興味を広げ深めていく者たる「おたく」としては、見に行かざるを得ないわけでして(何)
この小説を例によって薦めてきたラノベ大王・むさくんと共に、初の「観劇」に臨むことと相成ったわけであります。


前置きが大変長くなりましたが、もうこれは僕の文章の癖なのでもう反省はしません(何)ここから本題に入ります。
映画やアニメのイベントなどは行くけど、「演劇」、特に学校の文化行事で行かされるような古典とかそう言うのじゃない、娯楽としての演劇を見に行くというのは初めての経験で、一体何をどういう風に観ればいいのか、観客・会場はどういう雰囲気なのか、そもそもどういうモノなのか、全く分からないという完全なアウェイ感を抱きながら見始めることとなったのですが・・・・

なにこれ超おもしれええええええ──!!!

「何をどう見ればいいか」なんてそんな細かいこと抜きにして、ただ純粋に面白いと思えるよこれすげー!
話が面白いだけなら別に映画でも同じなんだけど、なんかこう、それとはまた違った面白さがあるよこれ。
なんていうか、熱気がハンパない!
「目の前で生の役者が演じてる舞台はテレビや映画なんかよりもずっと力強く訴えかけてくるモノだ」なんてのはよく言われるけど、こりゃ確かにそうだわ。今までは正直ピンと来ない言い分だと思ってたけど、実際観てみたらそう言いたくなる気持ちはよく分かったよ。
表現されてる感情の起伏が、こんなにもダイレクトに伝わってくるモノだとは思わなかった。みんなでわいわいやってるシーンはホントに楽しいし、イライラして「あーもううるさいな!」とか言ってるシーンではホントにイラっとしたし。映画とかではそこまでの体験はしたことがなかったから想像もしなかったど、ちょっとこれは未知の体験だったわ・・・

それから、舞台と客席との間には演劇用語で言うところの「第四の壁」という見えない仕切りが有るには有るけど、それは物理的な仕切りではないから、観客からのフィードバックってのも少なからずありそうだってのがなんとなく見えてきて、それがまたなんとも楽しかった。
今回、演劇の素人目線ながらも見てて思ったけど、「今のそれアドリブじゃねー?」って思えるシーンは多々あって、それらの多くは観客の反応を受けて出てきたものなんじゃなかろうか。舞台演劇は今そこで演じられることで初めて「完成」するんだろうだけど、その完成形は観客の反応というかノリで部分部分が変わりうる、即ち完成の過程には舞台上の役者たちだけでなく客席の我々観衆も一役買ってる、っていうその一体感?みたいなのがびっくりするほど強かった。これは映画とかじゃ絶対に起こりえない現象だからねぇ。

特に今回の演目では、そう言うのを意識させるような演出があったのも、そう感じた大きな理由かも。劇中の劇団「シアターフラッグ」が地方の高校で出張公演をする、というのがこの作品の極めておおまかなストーリーだけど、劇の最後の方でいよいよその出張公演の上演開始、っていうシーンがあるわけですよ。そこでは舞台が暗転して、高校の講堂に流れるアナウンスっぽく、「ただいまより~~の上演を開始します。」っていう放送が実際に流れ、そして明転したら一部とはいえ実際に劇中劇が演じられる・・・と。要するにそのシーンでは、今「もう一つのシアター!」が上演されている紀伊國屋ホールが劇中の高校の講堂に見立てられたわけで、となると観客はその瞬間、そこに集まった高校生役を演じてるとも言えるわけで・・・って、そんなことされたらもう「一体感」どころの騒ぎじゃないでしょう!wwフィクションの世界への没入感という点でも今までこれほどのモノはなかったね。このシーンでなんかもう完全にやられましたw

あとこの作品特有の事情として、モデルとなった劇団自身が自分たちをモデルにした劇団を演じてるから一体どこからどこまでがフィクション・演技でどこからがリアル・本音なのか、その境界が曖昧でなんかよく分からなくなってくるってところも面白いかった。
今書いたシーンも、ここが紀伊國屋ホールなのか高校の講堂なのかよく分からなくて楽しいんだけど、役者も「シアターフラッグ」という架空の劇団に所属する劇団員を演じているはずなのに、それは演技ではなく素なんではないかと錯覚してしまうところがなんとも痛快。
少なくとも沢城みゆきに関しては確実に本人をモデルにした役を本人が演じているという、何かもう頭が混乱しそうな状態になっているわけだから、セリフの一言一言の重みが違うというかなんというかww
おかげで「どうせみんな羽田千歳(沢城をモデルにしたキャラクター)目当てで、シアターフラッグを見に来たんじゃないんだよ!」ってセリフは、半分以上図星を突かれた気分でとても胸に突き刺さりますが(爆)
でもそれぐらい「リアル」故、演じてる役者さん達すげー楽しんでるんだろうなぁ、ってのはひしひしと伝わってきて、それが何より楽しかった。
僕は基本影響されやすい人間ってのはありますが、なんかこういう世界も夢があっていいなあと憧れを抱いてしまうぐらい、とても刺激的な経験でした。

とまぁあらゆる点が新鮮でそれだけでも充分楽しかったのに、ストーリー展開の方もテンポ良く進んでいって笑いあり、笑いあり、ちょっとシリアス有り、笑いあり、そして涙があって、最後は明るく!っていうアニメや映画でも僕が一番好きなタイプの構成だったのでもう大満足!
正直、これはハマる(何)
今回は「有川先生の『シアター!』」および「声優の沢城みゆき」のファンという理由で見に行ったけど、今度は「Theatre劇団子」のファンとして別の公演を見に行きたいと、お世辞でもなんでもなく素直にそう思ってます。
次回公演は6月に下北沢だそうで・・・ちょっと真面目に考えときましょう(何


最近アニメオタクを根っこの動機にして、いろんな周辺領域に足をつっこみだしたけど、なんかいろんな体験できてすごい楽しいわーwww
多分アニメが動機になってなかったらここまで積極的に動こうとする原動力にはなり得ないだろうし。
おたくこそが最も文化的な生活を送っている「リア充」だと思うね(何

この記事に直リン:http://tianlang.s35.xrea.com/diary/diary_admin.cgi?number=1924&mode=single&skin=old
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