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「ストレンヂア-無皇刃譚-」見てきた | No: 1385 |
・・・・・っっ!!
語彙が少なくて申し訳ない。でも言わせて(何)
すげぇっ!!!
終わったあと「あまりの衝撃でしばらく動けない」というの久々に体験したわ。
なんというかもう流石bones!
普段のTVアニメでもレベル高いものを仕上げてくるbonesが劇場版ってことで本気を出したもんだから、もう作画が途轍もないほどハイクオリティー。
冒頭、いきなり殺陣のシーンから見せられるわけですが、そこでいきなりこの作品の画はこんなにもすごいのか!ってことを思い知らされるわけですよ。
そのあとはちょこちょこアクションシーンがあるけど基本的にはほのぼのした話になるんですが、ここでも気が抜かれることなく、キャラクターの表情がものすごく豊かに描かれてるんですよ。
で、極めつけのクライマックス。それまで画も十分すごかったけど、さらにすごくなって、もう斬って斬って斬りまくってとにかく斬って、時には射ったり投げたり突いたりとかも。でもその大乱戦には主人公・名無しは関わってないわけで、その時どうしてるのかというと、ともかく走ってるわけですよ。そりゃもう、ひたすら。大チャンバラと比べると走ってるなんてのは相当地味だけど表情やら体の動きやら、やたらと印象に残るような作画がなされてるからもう気なんて抜いてられません。
そしてラストは名無しvs羅狼の宿命の対決。戦いの場が塔の途中と言うことで普通のチャンバラに上下の動きが加わってるし、作中最も強い男同士の対決ということでそれはもうとんでもないほど動く動く。ただ動くだけじゃなくて演出もまたかっこよくて、雪煙がぶぁーっと舞ったらその影からものすごい形相の相手が飛び出してくるとか、もう、ね(何)
もうこの映画はこの映像を見に行くためだけに行っても全く損はないんじゃないかと思います。
今まで作画のことばっかり書いてきましたが、それだと「どうせボンズだし『絵はいいけど話はダメ』っていういつものパターンじゃねぇの?」って思う人が多いかもしれません。今2ch見てきたら実際そういう感想を抱いた人もいるようですが、僕はそうは思わない。
確かに、批判する人たちが言うとおり「必要ない設定」が有るし「いなくても良かった登場人物」が居たということは否定できない気がします。でも、それは皆あくまで枝葉末節の部分であって、話の軸の部分はぶれてない。その軸ってのはわりと単純明快で、「或る事をきっかけに刀を扱うことに苦悩して刀を抜けないようにしていた名無しが、どういう理由で再び刀を抜くか」、ってところにあると思うわけですよ。王道ですね。そのメインテーマに直接関わる部分ついては特に不必要な設定もなかったと思うし、逆に描写不足でもないと思う。そういう風に過不足無く必要なエピソードが適度に描かれてるから、名無しが最後再び刀を抜く理由は何の違和感もありませんでした。
それから、さっきも書いたとおり絵のクオリティがものすごくて、特に表情とかもすごい豊かに描かれてるおかげで、キャラクターがみんなリアルなんだよねぇ。そのおかげで、話もものすごいリアルに感じられました。人が血飛沫上げながらばっさばっさと斬り殺されていく話でそれをリアルに感じられてしまうわけだから見ててものすごく「痛い」んだけども。でもその痛さ故に心にぐっと染み渡るモノがあるわけで。
ってか時勢柄思ったんだけど、こういう「残酷描写」の有るアニメは教育上悪い的な理由で槍玉に挙がることが多々あるけど、この作品みたいに「しっかり痛みを感じられる残酷描写」は逆に教育上良いと改めて感じた。作中の「痛みがあった方が生きてるって気がするからいい」ってセリフじゃないけど、これ見て痛みを感じられてる人は正常な心を持ってる証拠だと思うよ。PG-12指定だけど、子供連れてくるのもアリだと思います。もし僕に子供居たとしたら、これ見せたいわ。絶対。
あと話全体の構成と人物の性格もいいね。
最初で派手なアクション→しばらくほのぼの→ものすごいアクション→クライマックスでさらにアクションって流れは「精霊の守り人」と同パターン。少年とそれを守る用心棒という組み合わせも一緒だね。
この構成、すごく緩急が効いてて良いと思うんですよ。
「ほのぼの」のシーンは名無しと仔太郎の関係の変化を描くエピソードだからさっき書いた「話の主軸」を描くために必要なパートだけど、長いこと続けるとダレてしまう。でも途中にちょこちょこアクション入ってたから途中弛むことなく話が進んでいってテンポはものすごく良かったと思います。
またその2人の組み合わせってのも、普段あまり感情をあらわに出さない大人の名無しと、年頃の少年らしく表情がころころ変わり、素直じゃないから名無しに対して言うことなす事いちいちつっかかってかかる要するに典型的なツンデレ少年であるw仔太郎って組み合わせでまたなんともいいよね。仔太郎の愛犬・飛丸も大活躍だし。
名無しのライバル的なポジションにいる羅狼もストイックで武人を絵に描いたようなってまぁ実際絵なんだがwキャラでかっこいいし。
メイン3人それぞれ違った魅力を持ってて互いに引き立てあってる、かなりバランスのいい布陣だったと思います。
あとキャラを演じてる声優陣もイメージぴったりでとてもいい。
この作品も最近の例に漏れず芸能人を主役に起用だから不安だったんだけど、名無し役のTOKIOの長瀬智也は最近の芸能人声優の中では相当上手い部類に入る感じ。ところどころ滑舌悪くてオンドゥル気味なところがあったけど、それ以外に気になるところは全くなかった。
仔太郎役の知念佑李は仔太郎と同じぐらいの年齢だそうで、これもキャラにリアリティを与えていた要員の一つなんだろうね。まぁ正直なところ、演技には若干の不満があったりはしますが(爆)
ってか芸能人声優って、違和感ないならむしろいい方向に働くね。
普段からアニメたくさん見てると声優の声は聞き慣れてるわけだけど、あまりに多く聞いてると「キャラの声」じゃなくて「声優の声」として認識されてしまうんですよねぇ。でも「聞き慣れない」芸能人声優が声やってると、ちゃんと「キャラの声」として認識できるから、すごく話に入っていきやすい。もちろん声優としての演技がちゃんとしてないとそうはならないんですけど、今回みたいに上手い人だったら逆に歓迎だわ。
で、こんなキャラ達が織りなす物語ってのはわりと王道展開なんだけど、その、リアルなんだけども荒唐無稽なこともやってるってのがアニメならでは、って感じで大好き。
だってさ。明(みん)の集団が何か巨大な砦作ってたり仔太郎を追いかけてたりする理由が皇帝に命ぜられて不老不死の仙薬を作るために、百年に一度の特別な子供=仔太郎の生き血を以て満月の夜に儀式を行うため、って要するに賢者の石を錬成するための人柱として仔太郎を使うってことじゃん!www
確かに古代中国の錬丹術の研究過程においてはこんな感じで人を生贄にして不老不死の薬を作ろうなんてことはやられてても不思議はないけど、そんなのが突然日本の戦国時代にやってくる辺りはいかにもアニメって感じで、いいよねw
そしてラストシーン。
また最後の最後まで痛いというのが痛いけどそれがいいね(何)
ラストは仔太郎の表情からは一見ハッピーエンドに思えるんだけど、よく見ると何か悲しい事態が起こる可能性を否定しきれない描写がなされてるのが・・・
これの脚本書いてる人はあの有名な「ラーゼフォン」第19楽章「ブルーフレンド」の脚本書いた人だとさっき知って全てを納得したよ。アレもとんでもなく痛い話だった。
・・・とまぁものすごい勢いで支離滅裂かつ大量に思ったこと書き連ねましたが、まとめると一言。
いいよ、これ。
正直な話、全然期待しないものすごい気楽に見に行ったけど、やられました。
かなりおすすめです。